今日の福音(マルコ6章7~13節)は、12人の弟子が派遣される話です。
マルコ福音書の3章13節からの箇所で、12人の選びの話が描かれていて、ここから12人の弟子がイエスと行動を共にしています。今日の福音は、イエスによって選ばれた弟子たちが次なるステージに入ったことを示しています。それまでイエスがそばにいた状態から、イエスなしに他の弟子と同じ使命に遣わされます。自分たちの選びから今日の箇所まで、どんなエピソードが描かれていたかを振り返ると、今日の箇所をより深く味わうことができます。
自分を訪ねて来た母と兄弟たちのことを聞いて、「神の御心を行う人こそ、わたしの兄弟、姉妹、また母なのだ」(マルコ3:35)という驚くべき言葉をイエスは宣言されました。
マルコ福音書の4章では、神の国についてのたとえ話がまとめられていました。人間の知恵をはるかに超える神の働きに委ねる生き方への招きです。
湖で嵐を静めるイエスの姿に接し、旅の途中、ゲラサ人の地方での悪霊に取りつかれた人を癒したエピソードでは、人々から「ここから出て行ってもらいたい」と拒絶される体験をしました。
会堂長のヤイロと12年間出血の止まらない女性のエピソードでは、なりふり構わずイエスを信頼する信仰者の姿に接し、ナザレの会堂ではヤイロと女性と対照的な不信仰者の姿を目の当たりにしました。
今日の派遣の話は、これらのそれぞれのエピソードと密接につながっていることがよくわかります。弟子として生きることに向けられているイエスのまなざし、弟子の視点に不可欠な神への徹底的な信頼、弟子を待ち受けている拒絶や不信仰による苦悩を承知の上でイエスは、弟子たちを派遣し、それを乗り越える道こそ、イエスに結ばれた弟子の連帯に他ならないことをイエスは宣言されています。私たちもイエスの弟子であることを、あらためて思い起こしましょう。