2022年7月3日 アンディ神父様メッセージ

「平和の使者になりましょう」

 

 皆さん、今日の福音書は、イエス様がエルサレムに向かう決意を固められた後、72人の弟子達を広く世界に派遣されたお話です。彼らの使命は、神の国の到来を、世の人々に宣言し、その印として人々の病を癒すという壮大なものでした。

 ここで当時の状況を想像してみてください。「旅には何も持って行ってはならない。杖も袋もパンもお金も持ってはならない。下着も一枚しか持ってはならない」という制約の中で、弟子達は二人一組になって、ガラテヤの村や、そしてローマへと、世界宣教活動の旅を始めました。この時、弟子達は伝道の成果を報告しなければならないという責任もありました。当時の伝道者たちの生活は、成果を求められつつ、とても厳しくつらいものであったことが分かります。この厳しい旅の中で、彼等は小さな喜びの一つ一つを、大きく喜び、奇跡的な幸運に巡り合うたびに、「主の名の持つ威力」を感じながら、信仰を深めていったのではないでしょうか。雪の降る中、極暑(ごくしょ)の中、粗末(そまつ)な布をまとい、必死(ひっし)に伝道活動に努める弟子達のことを思うと、私は彼らの伝道活動に対して心の底から感動し、尊敬します。 

 どうして彼らは、過酷(かこく)な伝道生活を続けることが出来たのでしょうか。それは弟子達が、自分の伝道活動こそが、イエス様の果たすことが出来なかった働きの延長である、と心から信じたからだと思います。派遣された弟子達は、何も無い状況でありながらも、あらゆる手を尽くして、困っている人々の心の動きを理解しながら、助けたのだと思います。奇跡とは必ずしも病気を治すことだけではありません。苦しんでいた人が、ほんの少しの笑顔を見せた時、それも小さな奇跡なのではないでしょうか。

 皆さん、今、私達が持つべきものは、社会的地位やお金ではありません。持つべきものはただ一つ、「平和」です。「平和という奇跡」です。表面はみすぼらしく見えても、特別な富を持たなくても、全てを持っているイエス様のように「平安」を人々に与えることができます。世界中で戦争が起こり、一億人以上の難民が全てを捨てて逃げまどっています。一日に一人でも多くの人が、彼等の生活に「平和の奇跡」を見出すことが出来るように私達は行動を起こしましょう。祈ることや、募金でもいいです。ボランティア活動もいいです。「世界平和」の実現のために、今こそ、イエス様の教えを多くの人に理解してもらうことが大切です。それは、宗教を超えて、人間としてとても重要な使命だからです。世界中の全ての人が、平和な時の中で生きることこそが、「神の国」のあるべき姿であると私は思います。

 現在世界で起きている戦争や、飢餓問題などを考えてみると、イエス様の時代の荒れた社会とある意味同じような状況に私たちは生きているように思います。私も含め、多くの人々はコロナ感染によって、抑圧された生活を強いられ、ウクライナ侵攻によって、更なる不安を感じ、その結果、周りの人を監視しながら、人の目を気にしながら生きていくことに慣れてしまったように感じます。どうぞ皆さん、こういう時だからこそ、キリスト者として、そして使徒としての生き方を、当時の72人の弟子達の生き方から学んでいただきたいと思います。

 ここで改めて72人の弟子達の働きに感謝したいと思います。彼等の命をかけた世界宣教活動の働きがあったからこそ、2000年の時を経て、今私達がここに集い、彼等の使徒としての働きを引き継ぐことができるのです。皆さん、イエス様に期待されているご自分に目覚めましょう。そして、ぜひ「幸せを分かち合える平和の使者」になっていただきたいと、心から願います。

 

主の平和